鏡リュウジの相性占い|特別講座◆占星術で見る太陽と月の結婚・相性

2023年1月某日、赤坂某所で開催されたイベント【「人間関係がさらに面白くなる「占星術的 対人・相性思考」を手に入れる」】のお話が、想像以上にご好評をいただきましたので、緊急でレポートをお届けします。

講師は占星術界を第一線でご活躍され、お弟子さんや影響を受けた方が多数いらっしゃるという超がつくほどのエキスパートの占星術師【鏡リュウジ先生】です。

鏡リュウジ(かがみりゅうじ)先生は、長年にわたり海外の占い書籍を翻訳し、自らも第一線でテレビや書籍、雑誌等のマスメディアで活躍してきた、ある世代にとっては、占星術界一の有名人といえるでしょう。その名声だけでなく、歴史の流れに沿った学問的知識は奥深く、占星術の世界観をさらに広げてくれます。

そんな現代の巨匠ともいえるエキスパート占星術師を迎え、本当に特別な機会に恵まれました。

今回の特別講座で伺ったお話の内容の一部をご紹介しますので、占星術に興味のある方や占いの知識を学びたい方はぜひチェックしてみてください。

まず知っておきたい、占い全般での「人間関係」の重要性

占い鑑定の悩みでもっとも多い相談内容は「恋愛」なのですが、いわば男女の対人関係であり、相性が深く関係しています。

その他、仕事でも家庭内トラブルでも、悩みのほとんどに人間関係が深く関係し、問題が起こると、相手や仕事との相性を考えてしまいます。占いを学ぶうえで必ず知っておきたい考え方が、「人間関係」と「相性」だといえるでしょう。

「占星術って、朝テレビでやっている星座占いでしょ?」
とおっしゃる方も少なくありませんが、テレビや雑誌の星座占いは、
「生まれた瞬間に、太陽があった星座(ネイタル太陽星座)」だけを見ているのです。

それは、出生時刻や出生地を加味しておらず、しかも、他の天体(月、水星、金星、火星…)はまったく見ていません。太陽は影響力の強い重要な天体ですので、意味はあるのですが、ごく一面でしかないのです。

西洋占星術は、万人に共通な12星座を、人それぞれの生年月日によって12のハウス(エリア)に分割し、その中を動く10の天体(プラス、いくつかの仮想点)が配置された「ホロスコープチャート」を元に占います。

それらの要素の掛け合わせだけでも、膨大なパターン数となり、その中から必要な箇所をピックアップして解釈を加えるのが、本来の西洋占星術なのです。

さらに、人それぞれに持っている固有の天体(ホロスコープチャート)は、一生変わらないものと、年齢とともに動く(成長する)もの、現在の星の動きとの掛け合わせ…などなど、派生するホロスコープチャートも数多くある、とても複雑で奥深い学問なのです。

そして、この講座では、さまざまな要素の中から「人間関係・相性」に関する要素に目的を絞り「いかに人間関係や相性を占うか」を抜き出し、先生の考え方を元に進めていきます。

鏡リュウジ先生による提唱「占星術は、星と心の錬金術」

鏡リュウジ先生の講座テーマは、「太陽と月の結婚~相性の秘密」です。

鏡先生は、心理学者であり占星術師でもあるユングの熱烈なファンであり研究家。ユングの心理学を使って、伝統的な占星術の星の見方をどのように現代的に解釈するかという、占星術の奥深い世界をご紹介くださいます。

ユングは人間関係や相性について「二つの人格の出会いは、化学物質の接触のようなものだ。なんらかの反応があれば、両者が変容することになる」と言っています。

ここで言う「化学物質の接触と変容」とは、現代の化学変化(誰がやっても再現性のある変化)ではなく「錬金術」のこと。錬金術とは、鉛などから黄金など貴金属を作るための術であり、ユングの時代はすでに錬金術はピークを過ぎていましたが、ユングが再評価したと伝えられています。

また、錬金術は「誰が、いつやるか」を重要視しており、時期を見るために占星術を用いていたと、鏡先生はおっしゃっています。

ユングは、錬金術を「相反する重要な天体(太陽と月)が結びついて、第三のものが生まれる」という、もっとも基本的な例えとして、心理学的に解釈していたそうです。

太陽と月の「結合と対立」を考えていたユングを巡る対応と月の戯れ

ユングの心理学では「人間の心は大きく言って、二つの層がある」と言っています。つまり、意識(エゴ)の背後には、無意識の層があり、二つが合わさって全体となる、ということです。

さて、この時期の時代背景として、ジェンダー意識が強く、男性は男性的に生きることを期待され、女性もまた女性として生きることを望まれていた時代、という前提があります。これら、意識と無意識のほか、男性の隠れたところには女性的要素(アニマ)が、女性の隠れたところには男性的要素(アニムス)を持っています。

ちなみに、「アニム」という言葉は、アニマルやアニメーションの語源と同じく「生きている」という意味があります。

生き生きとした感情を抱く時は、自分の中にあるアニマやアニムスが動き出す時、と、ユングは定義しました。そして、本来自分の無意識にあるアニムス(男性的要素)やアニマ(女性的要素)を、相手に投影してしまうのです。

つまり、自分の無意識には異性の要素があり、身の回りの異性(とりわけ親子関係や恋愛関係など、近しい間柄で強烈に起こる)に投影され、転移していくのです。

プラトンが語る神話での男女

さて、古代ギリシアの哲学者プラトンが語る神話では「人間はもともと二人の人が合わさってできていたが、ゼウスが二つに分けた。そして、別れた自分の片割れと出会うと恋に落ちる」と言っています。

さらに、プラトンの著書「饗宴-シュンポシオン」を、イタリアの哲学者でプラトンアカデミーの中心人物、マルシリオ・フィチーノが解釈した著書「恋の形而上学」では、「恋している人は自分を自分から送り出し、恋人の手にゆだねるので、恋人は彼を自分のものとして面倒を見るようになる。ところで、自分のものは誰にとっても何より大切である。恋している人は恋人の像を自分の心の内に刻むので、彼の魂は恋人の似姿に鋳込まれた鏡となる。そこで恋人は彼のうちに自分の姿を見出し、彼に恋せざるを得なくなる」と言っていますが、これは心理学の「投影理論」と同じです。

鏡先生は「心理学は、ごく最近の学問。占星術のほうがずっと古い。そして、現代の心理学は、占星術的な伝統やルネッサンス時代にすでに語られているプラトン的な思想の現代バージョンにすぎないのかもしれない」と語っています。

つまり、哲学や占星術など、古代の書物を紐解けば、現代心理学とは少し違った角度から人間の本質に近づけるのではないでしょうか。

ユングが「転移の心理学」で論じている錬金術=心の中でアルケミー(化学変化)が起きている

錬金術のテキスト「哲学者の薔薇園」を読み、ユングが自身の著書「転移の心理学」で語るには、錬金術は突然変異するのではなく、ある種のプロセスを辿ると言います。

ここで「哲学者の薔薇園」に掲載されている絵(木版画)で、転移のプロセス(図の2番~10番まで)を見ていきましょう。

【図の2番】正装をした王様(太陽)と御妃様(月)が、お互いに右手で花を手向けており、左手で握手をしており、さらに二人に対して鳩が花を手向けている。

これは、安定している二人の中に次のステップやステージが生まれるメタファーです。王様と御妃様という、すでに人生のピークに達して安定した男女に、ご縁を象徴する鳩がやってくる図です。

よく見てみると、無意識を象徴する左手では繋がっているものの、お互いの右手で差し出した花がクロスしているが、相手に届いてないことが分かります。

これを、占星術の相性で例えると、たとえ相性の良いホロスコープチャートだったとしても、恋に落ちるためには、別のミステリーとしての契機が必要、と読み取れます。

また、お互いに差し出して交わっている花は、先述の「エゴとアニマ、アニムス」の図に似ていることが分かるでしょう。つまり水面下では、すでに投影が始まっていると解釈できるのです。

【図の3番】裸になって相手の投影を受け入れる

【図の4番】裸になってお風呂に入る(水は二人の距離を縮める)肉体的、心理的な融合が始まっている

【図の5番】投影が強くなると、枠がなくなり結ばれる

【図の6番】二人の境界線が消えて一体化する(これまでの自分がなくなってしまう)

少しでも相手に気に入らない部分を見つけたら、嫌悪や憎しみに変わる状態といえます。

【図の7番】二人の間のスピリットが逃げ出す

【図の8番】浄化の雨が降ってきて、二人の気持ちが別の形に刷新されていく

【図の9番】別のスピリットが入って関係性を変える

【図の10番】一体化した両性具有の、ある種の完成形ができる(錬金術のプロセスの半分)

こちらの絵は、神託のタロットの「世界」にも表れてる両性具有です。でも…これは人間から見たら、化け物ですよね。

人間は不完全だから、こうはなりませんが、それほどまでに人間関係は大変なものだと、鏡先生はおっしゃってます。

投影のプロセスをホロスコープから考えてみる

占星術で相性を見る場合、二人のホロスコープを重ね合わせ、それぞれの天体の位置関係を見るクロスアスペクトという手法がありますが、これはまさに「投影と転移のモデル」をホロスコープに見ているのです。

また、コンポジットチャートは、いわば両性具有の状態といえます。さらに、投影と転移ということを、昔の人も言っていました。もっとも古い書物の一つで、占星術と哲学に関する2世紀の書物「プトレマイオス テトラビブロス第4巻5章 結婚」によると、

「夫と妻のルミナリーズ(光:太陽と月)が調和的な配置にあれば、すなわち、トライン(120度)かセキスタイル(60度)であれば、通常、この組み合わせは長続きすることになるだろう。」

「夫の月が妻の太陽と同じ配置にあるか、あるいは調和的であれば、絆は永続的となる。しかしこれらがインコンジャンクト(150度)、オポジション(180度)、スクエア(90度)であれば、些細なことで二人は別れ関係性は解消される。」

と書いてあるように、太陽と月が重要視されていました。
※鏡先生は、これをこのまま信じないようおっしゃってました。

また、15世紀のフィチーノの著書「恋の形而上学」によると、

・占星術師たちの考えによると、相愛の間柄になりやすいのは、二人の誕生時に太陽と月のあった星座がそれぞれ逆だった人たち。たとえば、自分の誕生時、太陽が牡羊座、月が天秤座にあり、相手の誕生時、太陽が天秤座、月が牡羊座にあった場合である。

・また、二人の誕生時に同じかあるいは似通った星座と惑星が天空に昇ろうとしていた場合、また金星が同一の誕生宮に同じ角度で位置していた場合。

とあります。

※前述の「オポジションであれば別れる」というプトレマイオスの考えとは相反します。

太陽と月による「コズミックマリッジ(宇宙的な結婚)」

さて、太陽と月を重要視していたユングと、彼ともっとも重要な人間関係だったフロイトのホロスコープチャートを見てみましょう。

ユングの月は牡牛座の15度で、フロイトの太陽は牡牛座の16度

つまり、フロイトとユングの間で、1度未満のコンジャンクション(0度)していたのです(これが、宇宙的な結婚-コズミックマリッジと言われています)。

そんなコズミックマリッジをしているユングとフロイトの間に割って入った女性がいるのです。

当時、まだ新人精神科医だったユングのもとに、患者として現れたザビーナ・シュピールラインという女性です。ザビーナはとても美人で頭も良く、若かりしユングと深い関係を持ってしまうのですが、ユングは結婚しており、今でいう不倫関係。

そのスキャンダルをザビーナのお母さんが知り、病院に乗り込んできた際、ザビーナが助けを求めたのが、ユングの後の師匠となるフロイトだったのです。そんな深い関係のあるザビーナの太陽と月は、蠍座でコンジャンクション(0度)しており、ユングとフロイトのコズミックマリッジのほとんど真正面(180度・オポジション)にいたのです!

太陽と月を重要視したユングですが、まさか自分の身の回りのただならぬ人間関係が、これほどまでに太陽と月が絡んでいるとは…驚きです。

鏡リュウジ先生が考える、相性を占う極意

数々の歴史的なお話で、太陽と月の重要性や、それにまつわる占星術師、心理学者がどれだけ心血を注ぎ、時には巻き込まれてきたかがお分かりいただけたでしょう。

さて最後に、実際に相性を占う際、どのような順番で見ていくかを、鏡先生がお教えくださいました。

まずは、二人の人間関係がすでに始まっているかが重要とのこと。錬金術のお話であったように「ご縁を結ぶ鳩」が降りてこないとダメなんだそうです。

そこから、それぞれの出生チャートを見ていき、4つの心理的タイプ(エレメント)を確認し、どの惑星が優勢か、また、その人が人間関係に求めているもの(第7ハウス、月、第8ハウス、金星など)と、象徴的なアスペクトに注目します。

その後、お相手のホロスコープチャートと見比べ、相互アスペクトの数を数えていきますが、0度(コンジャンクション)と180度(オポジション)は特に重要だとおっしゃいます。

鏡先生の解釈では、一般的にネガティブなアスペクトとされる180度は、必ずしも悪いアスペクトではないそうです。

また、アスペクトのうち、もっともタイトな(0度、60度、120度、180度にごくごく近い)アスペクトがあれば注目し、個人のチャートの中で重要な天体はどれかに気をつけて見ていくそうです。

さらに、相性を見るうえでは「パズルの最後のピースを埋めるものはあるか」も見るそうです。

これはたとえば、一方の人のチャートにTクロスがあった場合、その反対側に天体があれば、グランドトラインが完成し、投影が起こりやすいのではないか、とおっしゃっています。

最後に

いかがでしたでしょうか? 今回の「太陽と月の結婚~相性の秘密」というテーマに関して、ユングが提唱する伝統的な占星術のアプローチや星の見方をどのように現代的に解釈をしていくのか…という非常に奥深い世界に触れ、貴重なお話をしてくださいました。

今回は鏡先生の講座の一部を紹介させていただきましたが、占星術的な対人・相性思考の深さや、人間関係に関するアプローチや解釈が広がった方もいるのではないでしょうか?

■鏡リュウジ先生プロフィール

占星術研究家・翻訳家。平安女学院大学客員教授。
英国占星術協会会員、英国職業占星術協会会員、日本トランスパーソナル学会理事。
占星術への心理学的アプローチを日本に紹介して、
従来の占星術のイメージを大きく塗り替え、
幅広い層から絶大な支持を得ている。
著書に『鏡リュウジの占星術の教科書(原書房)』『鏡リュウジ 星のワークブック(講談社)』
『鏡リュウジの実践タロット・テクニック ケルト十字法大辞典(朝日新聞出版)』
『オルフェウスの卵(実業之日本社/文藝春秋)』など多数。

初心者でも挫折せずに占いを勉強するには?

今回、鏡リュウジ先生の特別講座の内容をご覧いただき、占いの勉強に興味を持たれた方、多いのではないでしょうか。

初心者でも挫折せずに占いを勉強する方法について、下記のページを参考にしてみてください。

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